「なに着ればいいのよ!?」
クローゼットの前で下着姿のまま仁王立ちするあたし。
なにを着ればいいの?
ワンピース?
フリフリスカート?
スーツ?
ジーンズ?
ショートパンツ?
もうワケわかんない。
あたしは苛々しながら、しょうがなくワンピースを手に取った。
白地に花柄のワンピース。
先週購入したもの。
店のショーウインドーで一目惚れをし即購入したもの。
買ったことに満足をして、一度も着ていなかった。
ちょうどいい機会だし、いっか。
こう思い、ワンピースを着る。
そして髪の毛を巻いて、化粧を直した。
髪を巻くのも、念入りに化粧するのも久しぶりで、どこか新鮮だった。
準備ができ、一階へと下りていく。
リビングに行く途中、玄関を見ると、綺麗に磨かれた男物の靴があった。
これは父のではない。
ということは今日のお客さんのか。
きっと清楚な人なのね。
靴がそう言っているわ。
リビングに歩いていく…。
聞こえてくる笑い声。
ゆっくり、ドアを開けた…。
「明菜、今日のお客様よ」
笑顔の母が言う。
やっぱり清楚だ。
後ろ姿で分かる。
「挨拶しなさい、明菜」
お酒を飲んだのか、少しだけ頬の赤い父が言う。
「こんばんは、兵藤明菜です」
お客に近寄り、挨拶をするあたし。
そしてゆっくりと振り返った…。
「こんばんは、明菜。
また逢えたね…」


