目の前に広がる海。
いつもはこんなに濁ってはいないのに。
季節が悪いのかな?
違う、きっと天気だ。
天気が何もかもを操っている。
この海も操っている。
荒い波音。
冷たい風。
暗い空…。
もうすぐ嵐が来る。
この海を見て思ったの。
あたしは砂浜に腰を下ろし、しばらくこの海を眺めていた。
小さい頃からこの海が大好きだった。
一人になって自分の生活を見つめ直すと、泣きたくなるくらい悲しくなる。
けど「頑張ろう」と前に進める。
あたしは小さい頃から体が弱い。
持久走なんて最後まで走ったことがない。
昔から両親に迷惑をかけてきた。
もう迷惑なんてかけたくないよ…。
ギターのケースからアコースティックギターを取り出す。
そして指を弦に並べて、動かしていく。
楽譜なんてない。
歌詞なんてない。
全てあたしが作ったモノ。
聞いてくれる人なんていない。
あたしが好きにやっていることなのだから。
自作の曲に自作の歌詞をのせて、唄っていく。
違った、観客は、この海だけね…。
ゆっくりとしたメロディーに、伝えたい気持ち。
自作のラブソング。
その時、貴方に出逢った。
「綺麗な歌声だね。歌手とか目指しているの?」
嵐が、来る。
恋の嵐が…。


