その後、アンヌさんにはしっかりお説教。
『いい?そんなちょっとイケメンがいるからって、邪気に取りいられない事!動じない!それが出来ないならイケメンは見ない!』
「イケメンを見ないなんて無理に決まってるでしょう!」
物凄く反論されたけど、最後の最後には「以後気をつけます……」という言葉が返ってきたからまぁ良しとしよう。
『またここから教室まで行くのかぁ。ジュリア、今何時?』
「1時15分ヨ。」
ちなみに……5限目開始は1時25分だ。
つまり、あれだ。
『あと10分とか……お昼ご飯ほぼ食べてないのにぃ!!』
絶望しかないよね。
そして3階まで涙目になりながらダッシュで帰りました。
これが私の日常だ。
走り回って邪気を祓い、それから空いた時間は双子と行動を共にする。
これが私にとっての平凡。それでいて、幸せであった。
でもこの日常はもうすぐ夢のように儚く消えていく事を私はまだ知らない。
*
「ふっ……」
時間を気にして走っていく少女を眺め、転校生は笑う。
両手……改め四方八方に花という男子から見たら羨ましいどころの話ではない状況ではあるが、転校生は周りを取り囲む者には興味を持ってはいなかった。
───さっきから、彼の目に映る女はただ一人だというのに。
「東条くぅん?どうしたのー?」
「ようやく始まるんだなって思って。」
「え?」
「ううん、何でもないよ。」

