「あいつん家、金持ちなんよ。」 「え、まじで?」 「おん。先祖代々続くお家みたいな。」 「へえ。」 金持ちでイケメンだと変わり者に育つのだろうか。 「文ちゃん、はよ食べんと伸びるで。」 雅也が箸で俺の器を指した。 「ああ、うん。」 うどんをすすりながら、レンゲで天かすをすくう。 窓際のカウンター席には、もう王子の姿はなかった。