それから一週間後。 戸上の延命措置を取り外す時がきた。 戸上のお父さんから立ち会ってほしいと言われたが、俺には勇気がなかった。 部屋でうずくまり、ただ震えることしかできなかった。 「…文太、行かんでええの?」 「…無理だよ。」 「…そう。」 母さんはそれ以上何も言わなかった。 そろそろ時間だ。戸上の心臓が止まってしまう。 結局俺は、救世主になんてなれなかった。