「タケくん…」

戸上の家族に頭を下げた。

「すみませんでした。俺がもっと早く名前を思い出してたらこんなことにならずに済んだのに。」

「それは関係ない。これがきっと運命だったんだよ。」

…運命。戸上の家族は俺の何倍も辛いはずだ。それでもすべてを受け入れようとしている。

「タケくんのおかげで俊介は笑ってられたのよ。タケくんが俊介の友達でいてくれたから。ありがとう。」

俺は戸上の死から目を背けようとした。お礼を言われる資格なんてない。

「タケくんが会いに来てくれて俊介も喜んでる。お別れを言ってあげて。」

戸上のもとへ駆け寄った。