この人がそんな強い思いを抱えて、戸上家に仕えているとは思いもしなかった。 「竹崎様のおかげで、戸上家も、私の家族も、やっとこの呪いから解き放たれます。ありがとうございます。」 「…それは良かったです。」 「早く、坊っちゃんに伝えてあげてください。龍の名前、呼んであげてください。」 「はい。」 この時俺は知らなかった。 龍の名前を思い出すのが一歩遅かったこと。 もう、手遅れだってこと。