愛は母親が死んだあと、何日も泣き続けた。 大切な人の死は、心を信じられないくらい深く抉った。 食欲もなくなり、外に出る元気もなくなった。 「愛…」 父や兄はひどく心配した。 数日経ったある日、愛は苦しみで押し潰されて死んでしまうのではないかと思った。 そんなとき、頭に浮かんだのは龍の存在。 愛は真夜中に家を抜け出して、裏山をかけ上った。