「愛なあ…」

他に愛という名前の人物はいただろうか。

その日は特に授業もなかったため、俺らはひとまず解散した。

電車に乗ると、ドアの前にどこかで見たことのある老人が立っている。

誰だっけ。思い出せない。どこで見たことあるっけ。

頭の中の記憶を思い巡らす。

白髪頭に特徴のある髭…

「ああ!」

俺の声に、その老人の肩が震えた。

「神主さん!」

じいちゃんの写メに写っていた龍守神社の神主だった。