ナカヤン宅をあとにする。

「ほんとありがとう。また新学期な。」

「おん。果歩さんとお幸せになー。」

ナカヤンは笑って送り出してくれた。

命には愛がある。

文太という名前も、父さんと母さんの愛が込められているのだろうか。

…あれ?俺も昔、誰かに名前を付けたことがある気がする。

もちろん子どもはいないし、弟や妹もいない。

ペット?いや、今まで飼っていた犬は、姉ちゃんが名付けていた。

ノラとかに勝手に付けただろうか。

思い出せない記憶に首を傾げながら、俺は電車に乗り、帰った。