「何でわかったんですか?あたしの考えていること・・・」

「言っておくが、俺は言霊を操ることは出来ない。よって、海のように心を読む事はしない」

「じゃあ、なんで?」

「・・・お前は、いつも桜のことばかり優先する奴だからだ」

「え・・・?」

「いや、そんなことはどうでもいいだろう。兎に角、桜の捜索はこちらでする。お前は案ずるな」

近づいた顔も、触れた指も熱さを残したまま離れて行く。

「だが、桜が見つかったとしても・・・ 俺の妻はお前だ。手放すつもりはない」

そう言い放った円の顔が凛々しすぎて、菖蒲は何も言い返すことができなかった。