グイッ!

印を組むしなやかな指は、菖蒲の顎を支える。

切れ長の目に、長い睫毛。筋の通った鼻。何もかもが完璧な作りの円の顔が目の前にある。

こんな状況に慣れていない菖蒲は、硬直するしかなかった。

「あのっ・・・」

「桜のことは、俺に任せろ。それがお前の考えていることだろう?」

海のように心を読んだのだろうか?

見透かしたように、言いたいことを先に言われてしまった。