急いで巫女装束に着替えて、祖父の元へ急ぐ。

境内ではすでに祖父の千影が、箒を片手に掃除を始めていた。

「遅刻だぞ、菖蒲」

「すみません。授業が長引いてしまって・・・」

「まあいい。菖蒲、今日はお前に頼みたいことがある」

祖父が頼み事とは珍しい。

普段、自分で出来る事はすべてしてしまう節がある千影は、家族や他人には滅多に頼み事をしたためしがない。