「・・・めっ・・・菖蒲っ!」

「っーーーーー」

その声に現実に戻る。目を覚ませば、目の前には円が心配そうな顔を向けていた。

「円・・・?」

「随分と魘(ウナ)されていたな・・・夢でも見たのか?」

「ちょっと・・・怖い夢を見て・・・でも、なんでわかったの?」

「俺の部屋はこの隣だ。幾度となく俺の名を呼んでいただろう?」