「菖蒲様、お体の方はお辛くありませんか? 俺の力で、少しは回復されたと思いますが・・・」

「海・・・?」

「まだ顔色が良くありませんね。 お部屋へご案内致します」

「待て、そいつには聞きたいことが・・・」

「円様、菖蒲様はお話を出来るような状態ではないかと・・・ 俺がお部屋へ連れて行きますので、心配無用にて」

そう呟くと、菖蒲を抱えその場を去る。

「・・・菖蒲・・・」

揺籠のような海の腕の中で、誰かに名を呼ばれたような気がした。