「手短に願いますよ?私もそんなに暇ではないので・・・」


 柊花の周りに青い焔が浮き上がる。狐は幻術を操るという。本当に凪は大丈夫なのだろうか?


 けれども、自分の心配を他所に、凪は不敵に笑ってみせる。


 その笑みは何度も自分を助けてくれた時の笑みだった。


「菖蒲ちゃん、僕はこいつと遊んでいくから、先に行っててくれる?」


 手に握った銃を何発も発砲し、柊花の行く手を阻む。


 その隙を衝いて、菖蒲は走り出す。


 今は振り返ってはいけない。ここは信じて走り抜けるしかないのだ。