「蓮華様、念のため阿紺に結界を作らせます。何もないよりはマシですから」


 そっと、薄く蓮華は微笑む。姿形は幼くとも、心に秘めたる想いを垣間見た気がした。



「主、巫女の瘴気は薄れた。某は、蓮華姫の結界を張る。そなたも急がれよ」


 気配を殺しながらそっと傍らに現れたのは、己の式神、阿紺だった。


「わかった。蓮華様はお前に任せる・・・ では、どうかご自愛ください」


 蓮華の返事を聞くことなく、凪は走り出す。


 自分がしなければならないことは、光巫女を守り抜く事。


 そう心に強く近い、菖蒲の元へ急ぐのだった。