門から少し行ったところにある緑豊かな庭。ここでよく自分も風に修行を付き合ってもらった場所だ。


「よく怒られたっけなぁ。もう少し風とも仲良くなれたらよかったな・・・」


あまり積極的なほうではない菖蒲には、親友と呼べる友達は多くない。


歳の近い風と、そんな関係になれたらいいといつも思っていた。今となってはそれも出来ないのだけれど。


さーっと少し冷たい風が髪を撫でる。ここに来た時は結べるか結べないかぐらいの長さだったのに、いつの間にか肩まで伸びた。