西園寺家は東峰院家からそう遠くはなく半刻もしないうちに着いた。


ついた途端に目に入ってきたのは、とても立派な門構え。恐る恐るくぐって敷地内に踏み込んでみる。視界に入る限り、素晴らしい日本庭園だなんて反則だ・・・


東峰院家もかなりの敷地面積だったと思うが、西園寺家も引けを取らず広い。思わず空いた口が塞がらない。


そんな菖蒲を見て苦笑した凪は、菖蒲を大広間まで案内した。


「紫(ユカリ)、棗(ナツメ)、茜(アカネ)」


凪がそう言い放つと、忍び装束を着た青年達が静かに現れる。