「黒い炎 地獄の業火身に纏いて 総てを焼き払え! 騰蛇!」


完璧な詠唱と共に、桜の気が膨らむ。


これは完璧なものだと、菖蒲の中に流れる血が騒ぐ。


自分がどう足掻いても、手に入れることが出来なかった力。目の前に具現化された、禍々しい黒炎を身に纏った大蛇が、桜を取り囲む。