「これで、少しは俺の気持ちがわかったか?」

「・・・こんなんじゃ・・・わかんないよ・・・」

何度も降ってくる口づけは、とても心地よくて離れてしまうのが嫌だった。

もっと近くにいたい。

助けられた恩を感じているからなのか、円の気持ちが心から嬉しかったのかはわからないけれど、今は円の胸の中にいたいと思った。

「円・・・助けてくれてありがとう・・・」

「何度だって助け出してやる。お前は、俺のそばにいるだけでいい・・・ 俺が欲しいのは、菖蒲という女だけだ・・・」

菖蒲にとって初めての愛の言葉と口付けは、月明かりだけがそっと見つめていた。