「ここ、一応おじいちゃんが結界張ってるんだっけ・・・」

木々の隙間から漏れる太陽の光だけを頼りに森を進んで行く。

なんだか心細くて足がすくんでしまいそうになる。

けれど、こんなところで立ち止まってしまっては、姉との約束を守れなくなってしまう。

半年前のあの日、桜は菖蒲へ一枚の手紙を残していた。

そっと懐に忍ばせていたその手紙に触れる。

『私の代わりに、光祭だけは成功させてください』

それだけが、菖蒲の原動力になっていた。