「あの二人の封魔師に邪魔されましたが・・・命令通り、順調に進んでおります」

暗闇に浮かび上がる行燈の灯りが、二人の男が浮かび上がる。お互い何を考えているのか、探りをいれているのか表情は硬い。

「ならば、早急に任務を遂行していただきませんと。あの方も首を長くして待っておられます。
時とは有限・・・そのことを、お忘れなきように」

「・・・御意に・・・」

強く握られた拳がワナワナ震える。

去って行く男の背中を睨みつけると、すぐさま印を組みだす。

浮かび上がる円陣が朱く染まったかとおもえば、今度は黒く浮かぶ。

その色彩に、己の心が穢れている様をみているようだ。

世界のために情熱を燃やした若き日。何処かで捻れてしまった運命が、いつの間にか黒に変えた。

もう、最後だろう。私は疲れてしまったのだ。

朱に希望を抱き続ける世界も、黒に染まって行く世界も・・・

だが、それでも・・・

私は朱に染まる世界を見たかったのだ・・・