それから地図を渡されて、五キロ離れた雹零山の入り口である”光の森”に着く。

なんなのだろう、この感覚は。

今までに感じたことのない雰囲気というか、神聖なオーラなのだろうか。確実に菖蒲の侵入を拒んでいるような気がしてならなかった。

「確か・・・ この森を真っ直ぐ抜けて、雹零山の入り口で祀られている神具を取ってくればいいのよね・・・」

早く済ませよと、心がそう叫んでいた。

なんだかここには長くいたくなかった。

神聖な場所だからなのか、いつも見えるはずの物の怪は気配すら感じなかった。

それだけでも救いだと思いたい。