狐は、戸惑うことなく喋る。


「中においで」




真っ白な部屋に入ると、
不思議な感覚が私を巡る。





「ここは、とても良いところでしょう?」


狐は私に問い掛ける。


「…」

「ここは、一切の感情が無い。
だから、戸惑うこと、悲しむこと、
そんな無駄な思いがひとつも見当たらない。」




狐は嘲笑する。




私は問う。

「貴方は、誰?」