「もうすぐ、息子が1歳になるんですよねー」

「まぁ。・・・それでは・・・」

芽衣と知り合ってからは月日も経っていた。

芽衣からは何度か勧誘の電話はあった

でも、なかなか保険の話をさゆりに切り出すチャンスもなかった聡

やっと、さゆりからのOKが出たから

正式に芽衣と会えた。

「会社ではなんですから・・・近くでお会いできませんか?」

「あ・・・はい・・・」

聡と芽衣は

会社が終わると、一駅先の駅で待ち合わせた。

「お時間大丈夫ですか?今晩?」

そうだった。

聡にとって、女性と夜に会うなんて

結婚後は初めてで

なんとなく罪悪感を感じていた。

でも、相手は保険セールスだし。

こんなに堂々と会えるなんて、やっぱり聡はこの都合は好都合だった。

芽衣が指定したレストランに着くと

昼間とは違い

聡がハッとするような、美人OL風に芽衣は装っていた。

「あれ・・・昼間とは全然違いますね。」

「そうですか・・・?」

芽衣は恥ずかしそうにうつむき

「でも、仕事は仕事なんで・・・」とニコリと。

「お願いします。」

「はい」

聡は芽衣に言われるがまま

保険の契約にサインしていった。