レイ、一緒に新しい世界を作ろう。
血の滴る真っ赤な手のひらを、レイの前へと差し出して、少年は穏やかに微笑みました。
新しい、セカイ?
そう、レイが幸せになれる世界だよ。
この腐った世界を一掃して、新しい世界を一から作り直すんだ。
少年は、正義のヒーローにでもなったかのように、悠々と語り始めました。
まずはこの世界を壊さなきゃ。
全部、ゼロにするんだ。
狂喜のあまり震える少年の手を、レイは両手で握り締めました。
リズ…
レイの声が、少年の空っぽの体の中を通り抜けていきました。
少年の心は凍り付いて、憎しみ以外にもう何も感じることはできません。
リズ、どうして?
レイは少年に問いかけました。
少年は答えました。
レイの言葉が嘘だったからだよ。
――分かり合えるとか、信じるとか、全部無駄だったんだ。
握り締めた少年の手の上の、誰のものとも分からない真っ赤な血を流すように、レイの涙が零れ落ちていきました。


