少年の中にはもう、憎しみの心はありませんでした。 目の前に広がる、すべてがゼロになった世界と同様に、少年の心の中も空っぽでした。 しかし、たった一つだけ、残っている思いがありました。 ―――人の心に愛が存在する限り、 世界は救われない。 真っ赤な世界の中心で、少年は自分の胸に手をかざしました。 そして、世界を閉じました。 神様は、全くの無力でした。 end.