パズル




「リ、ズ…」


消え入りそうなレイの声が、少年の空っぽの心に温かい何かを注ぎ込むようでした。


「ラウールは、ね、僕のこの目、綺麗だって、言った、の。……なのに、ラウール……」


途切れ途切れに話すレイに、少年は胸を引き裂かれるような思いがしました。



「レイ…」


「僕もね、本当は、パズルの中の、ピース、なりたかった」



レイの呼吸はどんどん浅くなっていきます。



「だけど、やっぱり、なれなかった。

僕は、悪魔、だか、ら。

…他の、どの、ピースとも、合わない、唯一、要らないピース、だった、……んだ」



レイの美しいオッドアイが、破壊された世界に転がる仲間達の死体へと向けられました。




「ねぇ、リズ」 



少年はもう、ただ、泣くことしかできません。



「僕が幸せな世界はね…」



レイの綺麗に澄んだ青い方の瞳から、一筋の涙が伝いました。




「君が、笑う世界…、だ、よ」




最期に、いつもの優しい笑顔で、少年にそう語りかけて、レイはそっと瞳を閉じました。



「レイ…、レイ、レイ!!」



少年は狂ったようにレイの名を叫び続けました。


しかし、レイがその瞳を開くことは、もう二度とありませんでした。