「なんで、僕に力を?」
「別に誰でも良かったよ、憎しみを溜める器は」
憎しみを溜める器。
レイは、少年のことをそんな風にしか思っていなかったのです。
少年はそれまで以上に深く絶望しました。
「あの間抜けなラウールでも、くずみたいに死んでいったあいつらでも、誰でも良かった。人間なんか、みんな、憎悪の塊でしかないからね。
だけど感謝してるよ、僕の暇つぶしに付き合ってくれて」
レイの言葉に、初めて人を殺したときのあの感覚が、少年の中でまた甦ってきました。
――レイを殺さなきゃ。
そう思うと同時に、少年はレイに向けて手をかざしていました。
そしてその直後、レイの血が雨のように少年の顔に降り散りました。
ドサッと、地面に横たわったレイの腹から、大量の血が溢れ出します。
「レイ!!」
少年はハッと意識を取り戻したように、レイのもとに駆け寄りました。


