「僕が幸せになる世界だっけ、君が望んだ世界は。
だけどさ、僕が幸せな世界はさ、こんな世界じゃないよ」
少年と、レイの間を冷たい風が通り抜けました。
少年には、そのビュービューと吹く風の音が自分の創った世界を否定しているかのように聴こえました。
「だったら、教えてよ。
レイはどんな世界が幸せ?
僕がまた、一から作り直すから」
やっとの思いでしぼり出したその声で、少年はレイに尋ねました。
しかし、レイの瞳はまだ冷たいままです。
「君には無理だよ、リズ」
にこりと笑って、レイそう吐き捨てました。
「僕は、悪魔だ。
憎しみのない世界じゃ生きられない」
少年にはもう、どうしていいのか分かりませんでした。
これまで自分のしてきたことが急にとてつもなく怖くなってきたのです。


