「ねぇ、ラウールの言葉覚えてる?」
ふと思い出したように、レイは少年に尋ねました。
しかし、少年はもう何も答えません。
「この世界はね、パズルなんだって。
みんなひとりひとりバラバラの形だけど、どれも欠けちゃいけない、大切なピース。
バラバラだからこそ、違っているからこそ、一つになれる。
みんなで一つの絵を完成させる。
それが、ラウールの夢だったんだって。
笑っちゃうよね」
レイの言葉に、ラウールの最期の姿が少年の目に浮かびました。
「あれ、リズ。泣いてるの?」
静かに涙を流し始めた少年に、レイはからかうような声をあげました。
「何が悲しいの?
やっと君が望んでた世界が始まったんだよ?」
少年は考えました。
自分が望んだ世界はこんな世界だっただろうかと。


