「嘘だ、嘘だ、そんなの嘘だ!」
「嘘じゃないよ。
だったら、僕を殺してみてよ。
僕は死なない。悪魔は不死身だから」
少年はようやくレイのことを理解しました。
なぜなら、少年の目の前に立つレイはもう、少年の知っているレイには見えなかったからです。
――どうして、もっと早くに気付かなかったのだろう。
少年は深く悔やみました。
「ほら、いつもみたいに殺してみせてよ」
挑発的なレイの笑みに、少年はぎゅっと強く拳を握りました。
少年にレイを殺すことはできません。
レイを失ったら、少年はもう一人ぼっちだからです。
「ねぇ、リズ。
君は神様じゃないよ。ただの人間だよ。
誰かを憎んで、殺戮を繰り返して、神様になるだなんてたいそうなこと宣言して…、その光景が、とっても人間らしくて、最高に面白かったよ」
レイは無邪気に笑いました。
少年の方はガクリと膝を落とし、ただ愕然と、自分が破壊してきた世界を見つめるばかりです。


