「僕を、殺してほしい」
少年は言葉を失いました。
やっと神様になれたのに、なぜそんなことを言い出すのか、全く理解ができませんでした。
「リズ、僕は悪魔だよ」
レイは、はっきりとした声で言いました。
「人間の憎しみを喰らう、悪魔」
「憎しみを、喰らう?」
まさか、と少年は思いました。
「僕は君に力を与える代わりに、君の憎しみを喰らった。
処刑台に上がったのも、仲間達に僕を裏切らせたのも、すべては君の心を、憎しみだけでいっぱいにするため。
みんなは知ってたんだよ、僕が悪魔だってこと。
だから、みんなは君を守るために、僕を殺そうとしたんだ。
それなのに君は僕を助けた」
唐突すぎるレイの告白に、少年は呆然としました。
少年が持っているその力は、人々が恐れ、忌み嫌っていた、あの悪魔の力だったのです。


