正樹は高校へ行き、心配していた校長先生に婚約の報告をした。
「君はまだ若いけど、まさか本当に結婚するとはね。ところで息子さん達は承知してもらえたのかね」
痛い所を突く校長先生。正樹は首を振った。
「こうなりゃ強行突破でもしようかと。式ですが、卒業式の後を予定しています」
「結婚式は卒業式の後か? よし判った。私が何とかしましょう。要するに、式の邪魔をしなければ良いってことだろう? 正式に決まったら連絡してくれたまえ」
校長先生が正樹と美紀の肩を叩く。
正樹は深々と頭を下げた。
美紀も慌てて頭を下げた。
「ところでだが……」
校長先生はそう言いながら席を立った。
「今、結婚式場の予約が大変だと聞いたのだが」
それは美紀も聞いていた。
一年待ちもあるそうだと。
でも幸い空いているようなのだ。
とりあえず仮予約だけはしておいた。
それは元プロレスラー、平成の小影虎の名前だった。
高校球児バッテリーの父親と言う肩書きの力は偉大だったのだ。
でも絶対に口外しないと約束はさせた。
もしバレると……
正樹はそれが気が気ではなかったのだった。
それでも、この場に及んでも正樹は迷っていた。
大阪の美紀の祖父にどうやって切り出そうかと。
そう……
それが一番の難関だったのだ。
正樹は大阪の美紀の祖父に婚約した旨の報告した。
そう……
これがもう一つの超えなければいけない壁だった。
電話口で祖父が喚いていた。
舌の手術をした祖父は言葉を発しようと必死だった。
それは正樹にも解っていた。
それでも第一番知らせたかったのだ。
――ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴った。
正樹はドアを開けひっくり返った。
其処には大阪の祖父が仁王立ちしていたのだ。
正樹は気を取り直して、まず珠希の仏壇に案内した。
珠希の位牌に合掌した後、その横にあるツーショット写真を手にした。
大阪の祖父は胸にそれを抱えた。
まるで、心の奥底にまで刻み付けるように……
我が子が殺害したのは、確かに誘拐されたもう一人の娘の旦那だった。
その事実は、大阪の祖父を何度も奈落の底に落としていたのだった。
「君はまだ若いけど、まさか本当に結婚するとはね。ところで息子さん達は承知してもらえたのかね」
痛い所を突く校長先生。正樹は首を振った。
「こうなりゃ強行突破でもしようかと。式ですが、卒業式の後を予定しています」
「結婚式は卒業式の後か? よし判った。私が何とかしましょう。要するに、式の邪魔をしなければ良いってことだろう? 正式に決まったら連絡してくれたまえ」
校長先生が正樹と美紀の肩を叩く。
正樹は深々と頭を下げた。
美紀も慌てて頭を下げた。
「ところでだが……」
校長先生はそう言いながら席を立った。
「今、結婚式場の予約が大変だと聞いたのだが」
それは美紀も聞いていた。
一年待ちもあるそうだと。
でも幸い空いているようなのだ。
とりあえず仮予約だけはしておいた。
それは元プロレスラー、平成の小影虎の名前だった。
高校球児バッテリーの父親と言う肩書きの力は偉大だったのだ。
でも絶対に口外しないと約束はさせた。
もしバレると……
正樹はそれが気が気ではなかったのだった。
それでも、この場に及んでも正樹は迷っていた。
大阪の美紀の祖父にどうやって切り出そうかと。
そう……
それが一番の難関だったのだ。
正樹は大阪の美紀の祖父に婚約した旨の報告した。
そう……
これがもう一つの超えなければいけない壁だった。
電話口で祖父が喚いていた。
舌の手術をした祖父は言葉を発しようと必死だった。
それは正樹にも解っていた。
それでも第一番知らせたかったのだ。
――ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴った。
正樹はドアを開けひっくり返った。
其処には大阪の祖父が仁王立ちしていたのだ。
正樹は気を取り直して、まず珠希の仏壇に案内した。
珠希の位牌に合掌した後、その横にあるツーショット写真を手にした。
大阪の祖父は胸にそれを抱えた。
まるで、心の奥底にまで刻み付けるように……
我が子が殺害したのは、確かに誘拐されたもう一人の娘の旦那だった。
その事実は、大阪の祖父を何度も奈落の底に落としていたのだった。


