「…麻友理さん。

来週の活け込み、変わりましょうか?」


さっきまで、口も聞いてくれなかったのにね。

そういうとこ、可愛いんだよなー。

彼なりに心配してくれているのは、わかってる。


「俺、行ってもいいっすよ。」


ダイキ君が、不貞腐れた顔で私を見上げた。


地元でも有名な、大きなインテリアショップのオーナーと私は、不道徳な関係―――。

週2回、彼と会うことで仕事をもらっていた。

そりゃあ、大口の仕事だもん。

会うくらいしますよ。

それくらい、ぜーんぜん、平気。

だって、黒字を出せるのは彼のおかげだから。

3店舗あるインテリアショップの活け込みを全て任されていて、それがこの小さなフラワーショップの柱になっているのは、事実。


それなのに、――――。

時々ダイキ君は、軽蔑したような、憐れむような瞳で私を見つめる。


「へぇ、心配してくれるの??」


わざとらしく、満面の笑みで視線を交わす。


「は、―――?

気持ち悪いっすよ。

あんなおっさんと寝て、仕事もらって。

プライドとか、ないんですか??」


おっさんかぁ…。

おっさん、ねぇ…。

彼はまだ45歳なんだけどなぁ…。

見た目は30代にしか見えないし。

イケメンだし。


ま、既婚者ではあるけれど、――――。