「…んーっ。」


携帯の、着信を知らせる電子音が、リビングに鳴り響く。


…あ、そうだ…。

昨日は3人で打ち上げをして、――――。

北京ダック食べに、夕方から中華街まで出かけて。

たくさん食べたのに、またお腹が減ったという二人に連なって、明け方、ラーメンまで食べたんだった。

…っって、もう、お昼、過ぎてるじゃん。

久し振りに、よく寝たかもっ。


私は大きく伸びをして、音の鳴り響くリビングへと向う。


アラームもかけないで寝ちゃった…。

昨日は、この何年かの間で、一番充実した一日だったな。


「……っ!!」


すっごい、目、腫れてるし。


鏡に映る自分の姿が、情けなくて可笑しい。

泣いたし、笑ったし、騒いだし。

ガツンと頭に響く二日酔いも、妙に心地いいから、不思議なもんだ。


「はい、石井です。」


「麻友理??ごめん、寝てた??」


快活な綾子の声が、電話の向こうから響いてきた。


「おはよー。今起きたー。」


「ごめーん、起こしちゃった??」


「うううん、大丈夫。

どうしたの??」


ふわぁと欠伸をかみ殺し、ソファへと身体を預けた。