あっ、―――!!


「来た……。」


ロビーに現れた、背の高い二人組。

それが佐藤君と航太だとわかった瞬間、心臓がドキンと音を立てて跳ねた。


―――――!!!


受付を済ませた後、玲に声をかける航太。

そんな航太の表情を見て、彼がまだ玲を思っていることが伝わってくる。


「……っ、…ぅ…。」


私がいなかったら…。

そう思うと、涙が溢れて止まらない。

うううん、違う。

そんな偽善な気持ちすら、持ち合わせてなかったじゃない。

私は、玲よりも航太を選んだ。

心も身体も、航太を欲したんだ…。

卑怯で、卑劣な手を使って―――。


「麻友理さん…。

進藤のおっさんに、好き勝手やられてる場合じゃないっしょ。」


ダイキ君が私の顔を覗き込んで、切なそうに囁いた。


「…今、その話、する??」


不貞腐れる私の頭をそっと撫でる手のひらが優しい。


口角をきゅっと上げて笑う航太が、懐かしくて、切なくて。

もう、二度と触れられない。

手の届かない人なんだって、心に突き刺さる。


「すっごい、好きだった―――。

玲を裏切って、彼を陥れてまで、欲しいと思ったの。

でも、ずっと玲の影に怯えてたんだな、私。」