「あれ、上原翼じゃね??」


玲が嬉しそうに駆け寄る男の人に、翔平君は目を向けた。


「あ、そういえば、綾子が言ってた。

玲の婚約者はスケートしてる人だって。」


「うわ、まじか…。」


「翔、タイプだろ。」


足を投げ出しながら、ダイキ君がニヤリと笑う。


「うん、―――。

俺、あの子も上原翼も両方イケる。

っていうか、両方、いい。」


真剣に答える翔平君の頭を、ダイキ君がパシリと叩く。


「だって、テレビで見るより良くね?」


「ああ、―――。

翔のもろタイプだよな。」


「あ。ダイキ。

麻友理さんにばらしたから。」


「へ??」


「お前がストレートだってこと。」


「うわっ、おまえ、口、軽っ。」


「ねえ、そこ隠す必要、あったの??」


不思議に思って尋ねてみた。

その瞬間、眉間に皺を寄せたダイキ君が私に視線を向ける。


「麻友理さんに喰われるって思ったから。」


「……っ!!」


「男なら誰でもいいって見えたんですよ。

アレンジの才能、すげえいいのに、この人、見境ないなって思ってたんですよ、最初。

…ってええ!!」


真面目に返してくるダイキ君の背中を、思いっきりはり倒した。

まあ、そう見られていても、致し方ないんだけどね…。