「うわー、疲れたーっ。」


「まじ、眠い。」


席に座るや否や、彼らはテーブルに突っ伏してがっくりと気抜けしている。


「お疲れ様。帰ったらゆっくり休んで。」


メニューを広げながら、私は彼らにそれを渡す。


「俺、ビール!!」


翔平君が声を上げた瞬間、ダイキ君がすかさずそれを制した。


「朝っぱらから飲むなよ。」


「だって、ずっと起きてんじゃん。俺にしたら、朝じゃねーよ。」


拗ねた表情でダイキ君を睨みつける翔平君が、何だか可愛く見えて。


「いいじゃない、頑張ってくれたんだから。

ビール、頼んで、ね?

そうだ、夜に打ち上げしよっか。」


「まじっすか??やった!!」


今日まで店は臨時休業を貰っている。

少しくらい、羽目を外したっていいよね。


「じゃ、麻友理さんも飲みましょうよ。」


「私はいいわよ。」


「生一杯くらい、いいでしょ??

運転はダイキがしますから。

今頃、麻友理さんのお友達は幸せな結婚式なんですよ?

乾杯して、祝いましょうよ。」


「えー、でも…。」


「どうせ家に帰っても、やり遂げた感に興奮して眠れないっすよ?

少しくらいアルコールが入ってた方が、気持ちも落ち着きますって。」


「そ、そうかな…。」



正直、嵌められた―――。


その後、まさか、自分が欺かれるなんて思いもしなかった。