こんなにも心は拒否しているのに。
進藤さんに的確にポイントをつかれ、私はあっという間に上り詰めていく。
「…もっと、…して…。」
「欲張りだな、麻友理は。」
経験の、差だ…。
逃げられるわけなんか、ない。
巧みな手練手管に翻弄され、必死に求め続けてしまうんだ。
プライドなんか、捨ててしまった。
獰猛な肉食動物に弄ばれ、グダグダになって、逃げることも出来ない弱き生き物。
それが、今の私――。
「可愛いいなあ、麻友理は。」
「…もう、進藤さん、――――。
容赦ないっ…。」
私は媚びた瞳で見つめ上げた。
「そうしてほしかった、くせに。」
―――――。
そうなのかもしれない。
めちゃくちゃに壊されたいのかもしれない。
あの人の、優しい指使い。
ひとつひとつ、反応を確認するように見つめる眼差し。
忘れられるのなら、忘れてしまいたい…。
「どうした?他に男、いるのか?」
鋭い視線で投げかけられる。
「…うううん。進藤さんだけ、だよ。」
そっと目を伏せると、瞼に唇が寄せられた。
「麻友理は俺のものだ。」
「うんっ。」
私…。
何やってるんだろう―――。
閉じた瞳の奥に、綾子の幸せそうな笑顔が見えた――。
キラキラした、あの世界に、私はもう戻れない…。

