「それでね。ヘッドドレスのデザインなんだけど―――。」


久し振りに会ったからかな。

私たちは、学生の頃に戻ったように笑い、近況を語り合った。

綾子が一緒だと、私は全ての鎧を取り払う事が出来る。


素の自分と向き合ってくれる、私の大切な友人―――。


ああ、何て表現したらいいのかな。

ゆるゆるとして、気持ちがいい。

自分がどれだけ殻を背負って生きているのか、思い知らされる。

綾子の、幸せそうな笑顔を見ていたら、私までも癒されて、穏やかな気持ちになってくる。


「ね、今度はゆっくりと飲もうね。」


「勿論!!打ち上げ、しようね。」


次に会うのは、結婚式の当日。


綾子の晴れ舞台。


絶対に、素敵なウエディングフラワーを作り上げなきゃ。

心が浮き足だって、弾む気持ちでハンドルを握った。


あ、そういえば。

明日のスクールの準備、まだだったな…。

ダイキ君も久し振りに早く帰らせてあげれそうだし。

よしっ!!

お店、寄って、ちゃっちゃと終わらせちゃおうっと。


そう思い、車の車線を変更させた時。

携帯の着信が、車内に鳴り響いた。