それに私が助けた?
そんな記憶なんてない。
しかし書類を見る限りきっちりしているしなぁ...。
仕事をしてない私にとってとてもいい話。
とりあえず見学だけしようと思い、地図に描いてある場所に向かった。

そこは古い洋館のような建物があった。
入り口には『十六夜館』と書かれてあった。

扉をあけると中は外見通り広めのロビーだった。
入り口の隣には小さな窓がついた小部屋があった。
これが管理人室なのだろうか。
封筒に入っていた小さな鍵を使い中に入る。
中は思ってたより広く普通に生活できる。
しかも管理人になればここに住むのもタダ。
心が揺らぐ。

誰かいるのかい?

外から声がした。
小窓からか玄関を眺めた。
そこには爽やかな青年が立っていた。
「あ、こんにちは」
「こんにちはーってそこにいるってことは今日からここの管理人さん?」
「え?あっ」
言葉につまる。
違うと言えば不法侵入、しかしなりに来た訳じゃない。
「そうだよね!!俺、杉山健太って言うんだけど管理人さんは?」
「桜木美咲です!」
「美咲さんね!よろしく!」
そういうと奥へと入っていった。
「どうしよう...管理人になるつもりなかったのに」