現実を生きたからこそ、夢を見る



「……」


現実でも泣いてくれる人はいる。なのに足場を踏み誤る私は、救いようがない馬鹿なんだ。


「“彼”が、自害したくなるのも無理からぬ話だ」


「なんて、救えない……」


引っ込んだ涙の代わりに乾いた笑い。


自嘲。
――私はいったい、どうすればいいんだと、分かっているのに目を開けないんだ。


「今度は、いつ会えるだろうか」


「私としては、会わせたくはないものだ。ああ、だからこそ、会える時には私が来よう。結ばれたら最後、きっと君は私に会えぬ場所に行ってしまうだろうから」