最低で構わないから~好きと言えずに時間は流れる~

仕事の電話じゃない――直感だった。

元カレが浮気した時も、こんな感じだった。

電話が鳴った時、私の目を見ずに家を出て行くんだ。

しかし、私は井ノ原さんの恋人でも何でもない。

汗をかいた缶をキツく握り、ビールを半分一気に呑む。

お風呂場に行き、お湯を沸かす。



「悪い。長くなった」



「大丈夫。それより身体冷えたでしょ?お風呂入っても良いよ。着替えあるにはあるし」



父親のお泊まりセットがね。