最低で構わないから~好きと言えずに時間は流れる~

成美も芽も、私に何を伝えたいのか。

自分の事は、自分が一番わかってるのに。



「佐由美。あんたも素直になりなさい?」



「――素直だよ」



だから楽しい。

だから悲しい。

だから苛立つ。

芽より、かなり素直に生きて来たと思う。



「だとしても、今の佐由美は素直じゃない!」



なのに、ビシッと言われて返す言葉がない。

目を逸らし、束ねた髪から外れたアホ毛を直す。