最低で構わないから~好きと言えずに時間は流れる~

椅子を退け、数歩下がって膝を着いた。



「佐由美ちゃん!」



「私……クビでも良いと思ってました。あの夜も、それを覚悟でお客様を外に連れ出したんです。ちょっと言ってやろうって。
正直、後悔は一切ありません。ですが、失礼を言ったのも事実です。申し訳なかったと思ってます。
だけど、辞めたくないんです。
あのお店に居たい。それだけでも、お許し頂けないでしょうか……。どうか、お許し下さい……っ」



そして、深く頭を下げた。