最低で構わないから~好きと言えずに時間は流れる~

「彼女を手離す事が惜しいわたくし共の思いと、立石の気持ちを理解して頂けませんか?」



「だから、俺の気持ちは……」



「――お願いします」



私は意を決して立ち上がった。

覚悟はしてた。

クビになっても良い。

辞めても良いと、腹を括ってた。

だけど、続けたい。

下川さんや井ノ原さんの気持ちを無視して、“辞めます”なんて言えない。

言える筈がないじゃん。