「なんで今更?」
じりじりと追い詰めるような岳理さんに、お兄さんはたじたじです。
危険を察して、相手の力になりたいのだとは思いますが、岳理の能力には感服致します。
「今更、というか、今、だからですね。
今まで姉に会いたい気持ちが1ミリも沸かなかったので、正直にそれを伝えておこうかと」
わ……。
それは、プライドの高いお義母さんからしたら、火に油のような。
「それに、もう僕は『有栖川』だから、養子に行った姉とはこの先、関わる事はないってはっきり縁を切っておかなければ、おばさんにも迷惑かけますから」
そう、さらっと言ってしまうお兄さんは、やっぱり成長したみたいです。
以前なら、血が繋がっているってだけで縋ってしまっていたかもしれません。
「だから、ホットケーキは明後日にしましょう」
ね? と可愛らしく言われたので、つい頷いてしまいましたが、父と決別した私も気持ちは分かります。
前を歩くには、邪魔な感情もありますからね。
「てか、鳴海、日本に何日いんの?」



