202号室の、お兄さん☆【完】


「あ、岳理さん!」

私の部屋から岳理さんの声がしました。

「?」

「202号室ですー! 私とお兄さん、只今監禁中です!」

「岳理くーん」

「……っち。何してんだ、お前ら」

そう言って、段ボールをどけてくれた途端、トンネルから光が見えました。


そして、すぐに岳理さんが覗き込んで、



「――本当に、何してんだ、お前ら」

流石に少し動揺したのか、目を細めてパチパチまばたきしました。


まぁ、膝枕してもらいながら花火をしていれば、驚きますよね……。



「へへへ。監禁されている間は、みかどちゃんは僕のものです」

そう自慢気にお兄さんが言うと、岳理さんはトンネルを再び段ボールで覆いました。



「あら、みかど居なかったの?」

「しばらく監禁されたいらしい」



「わー! わー! 嘘です! 嘘です! 岳理くーん!」


慌ててお兄さんは、私の膝から起き上がると、トンネル付近の壁を叩きました。


そういえば、いつの間にか外の賑やかな声がしなくなってます。



「真っ暗な部屋で、キャンドルだけの怪しい光のみで膝枕……ねぇ」


結局、千景ちゃんが助けてくれたのですが、ポツリと零すように言いました。



「私なら、襲ってるのに」