「あ、岳理さん!」
私の部屋から岳理さんの声がしました。
「?」
「202号室ですー! 私とお兄さん、只今監禁中です!」
「岳理くーん」
「……っち。何してんだ、お前ら」
そう言って、段ボールをどけてくれた途端、トンネルから光が見えました。
そして、すぐに岳理さんが覗き込んで、
「――本当に、何してんだ、お前ら」
流石に少し動揺したのか、目を細めてパチパチまばたきしました。
まぁ、膝枕してもらいながら花火をしていれば、驚きますよね……。
「へへへ。監禁されている間は、みかどちゃんは僕のものです」
そう自慢気にお兄さんが言うと、岳理さんはトンネルを再び段ボールで覆いました。
「あら、みかど居なかったの?」
「しばらく監禁されたいらしい」
「わー! わー! 嘘です! 嘘です! 岳理くーん!」
慌ててお兄さんは、私の膝から起き上がると、トンネル付近の壁を叩きました。
そういえば、いつの間にか外の賑やかな声がしなくなってます。
「真っ暗な部屋で、キャンドルだけの怪しい光のみで膝枕……ねぇ」
結局、千景ちゃんが助けてくれたのですが、ポツリと零すように言いました。
「私なら、襲ってるのに」



